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  • 執筆者の写真TENTEKO

ヴェネチアビエンナーレとアート・バーゼル


『巨大化するアートビジネス』を読んで勉強したことをまとめた記事です。いろんな詳しいエピソードは省いています。気になる方は本書を買ってね!






アート界の100人が必ず顔を出す場が、


・ヴェネチア・ビエンナーレ

・アート・バーゼル






どちらも6月開催、ヴェネチアの方は2年に一回、奇数年に、バーゼルの方は毎年行われます。



ヴェネチア・ビエンナーレは非商業的なイベントで、毎年異なるディレクターが選出され運営にまわります。アート界の100人に会うにはVIPパスが必要です。会場はジャルディーノ公園で、周辺には各国のパビリオンが並ぶそうです。ビエンナーレが始まってから12年後の1970年に初めて、ベルギーがつくりました。


アート・バーゼルは、もともとは商談の場だったが、今はビエンナーレと同様に非商業的なイベントになっています。東京アートフェアもそうですが、一般の人が訪れることができます。




「確かな作品は、確かな人の手、つまり確かなギャラリーにある」

とギャラリストのエマニュエル・バースは本書の中で言っています。大コレクターのような買い手にとって重要なのは、製造元の保証です。出所を重要視しているのです。



本書の著者、ダニエル・グラネ&カトリーヌ・ラムールは、現在のバーゼルの問題点を本書の中で指摘しています。アート・バーゼルでは作品が競売に出ることも多く、買い手に素早い決断をさせるところがあります。しかし、世界的な巨匠の作品が展示販売される唯一の場で購入を急かすというのは如何なものか、というのが彼らの主張です。



ですが、名作中の名作はこの場には姿を現わすさないのです。密かに取引されているので一般の目には触れることがないのです。東京アート・フェアもそうですが、一般公開の前にVIPへの公開があり、初日に私たち一般人が行ったとしても、すでに作品に購入済みのシールが貼られていることもあります。



有名ギャラリーは、広くて最優良なスペースを与えられます。若手は選考に選ばれ場所を確保できただけでもすごいことです。来年また選ばれるかは、その年の功績次第なんです。。

(一応、バーゼルの元ディレクターの、選考にはどのフェアよりも時間をかけているそうで、不正などはないそうです。)






〈重要人物〉

ロマン・アブラモヴィッチ:ロシアの億万長者でコレクター。

ガイ&ミリアム・ユーレンス夫妻:ベルギーの億万長者でコレクター。ユーレンス現代美術センターを設立。

ジャック・シラク夫妻:元フランス大統領で、ピノーのVIP。

ファラ・パーレビ:イランの元王妃で、ピノーのVIP。

オルガ・スヴィブロヴァ:ロシアのコミッショナー。

ファブリス・イベール:フランスの造形作家で批評家。

ジュディット・べナム=ユエ:ジャーナリスト。

エマニュエル・バース:フランスのギャラリスト。

アリー・ベレ:ジャーナリスト。

マーク・スピーグラー:アート・バーゼルの元ディレクター。




〈キーワード〉

ヴェネチア・ビエンナーレ:2年に1度開かれる。

アート・バーゼル:毎年開かれる。

ドクメンタ:5年に1度、ドイツのカッセルで開かれる。

ユーレンス現代美術センター:北京の個人美術館。

プンタ・デラ・ドガーナ:フランソワ・ピノーの個人美術館。

クロード・レヴェック:フランスのアーティスト。

ソフィ・カル:フランスのアーティスト。

アンドレイ・モロドキン:ロシアのアーティスト。

ブルース・ナウマン:アメリカのアーティスト。

ローマン・オンダック:スロバキアのアーティスト。

エンリコ・ナヴァラ・ギャラリー:エマニュエル・バースのギャラリー。


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