ギャラリーが作品を購入すると、次はコレクターたちに転売されていく、セカンダリー市場が始まります。『巨大化するアートビジネス』では、3段階あると記述されています。
まずは、億万長者たち。投資をすることに価値をおいていて、作品の価値がなくなる頃に他のコレクターに転売します。流行にそんなに敏感ではない、「お人好し」コレクター。そして彼らが手放すと、最後の引き受け手、企業・銀行・美術館の手に渡ります。最後のこの段階では、作品は価値を失っているのですが、美術館などはそれに気づいていないか気にしていないようです。会計上はマイナスにならないからです。
セカンダリー市場では、競売会社が主に活躍することになりますが、最近は競売会社自体が仲介役となる「個人間取引」までし始めています。競売をせずに個人間で売買することです。彼らは、買い手の好みをよく知っているため、独占して仲介することができます。
また彼らは、役員にヨーロッパの上流社交界の人々(ハプスブルク家とか)を役員に持っており、役員メンバーは自身のコレクションを売りたいときなどは、所属の競売会社で取引をしたりもするようです。各社で一族を分け合うこともあるようです。
《重要人物》
●アリー・ベレ:『ル・モンド』誌の記者。
●ベルナール・ジュルシェ:プライマリー市場のギャラリスト。
●ブレット・ゴービー:クリスティーズの鑑定士。
●エイミー・カペラッツォ:クリスティーズの鑑定士。
●トビアス・メイヤー:サザビーズの鑑定士。
●シャイアン・ウェストファル:サザビーズの鑑定士。
●フランチェスカ・ヴォン・ハプスブルク:競売会社の役員の一人。
●グロリア・フォン・トゥルン・ウント・タクシス:競売会社の役員の一人。
●ジェネヴラ・エルカーン:競売会社の役員の一人。
●ラポ・エルカーン:競売会社の役員の一人。
《キーワード》
●『死のオブジェ』:キャロル・オコンネル著の推理小説。現代アートの構造について模写されているという。
●サザビーズ:アングロサクソン系の大手競売会社。
●クリスティーズ:アングロサクソン系の大手競売会社。
●フィリップス・ド・ピュリー社:アメリカ=スイス系の大手競売会社。