ミニマリズム #1
- TENTEKO
- 2018年7月24日
- 読了時間: 3分
アートタイムです。
『20世紀の美術』(美術出版社)を主に参考にしながら、近代以降の各ジャンルごとにまとめるページです。
各アーティストについては、ARTISTのカテゴリでまとめていきます。新たに知ったことがあればどんどん追記していきます。
ミニマリズムとは、
1960年代にNYやL.A.で起こった、美術作品のあり方を根源から問い直す、前衛的な美術様式のことである。
1960年代は、ヴェトナム戦争が勃発するなど不安定な時代だった。そのため既存の制度や社会に対して異議を唱える動きが強くなっていた。
ミニマリズムの特徴は以下です。
●立体作品が主
●作品、空間、鑑賞者の関係の問い直し ⇒インスタレーション
●単純化された構造
●単独の幾何学形状、またはその繰り返しによる構成
●感情や意味の排除 ⇒発注制作
●台座拒否の姿勢
ミニマリズムは立体作品を床や壁に直接置く、インスタレーションの形式をとっているものが多い。空間を歩き回っていることを意識させることが目的でした。この主張をパロディとして作品化したのが、カール・アンドレの『The Maze and Snares of Minimalizm』。
『The Maze and Snares of Minimalizm』は、鑑賞者が作品に近づくほど身動きが取れなくなる。この作品は、ミニマリズムをムーヴメントとして確立させ、ネオ・ミニマリズムへつながっていきました。しかし、ミニマルのアーティストたちは、マニフェストなどなく視点の相違または対立があっただけと主張しています。
ミニマリズムの批判者は、ミニマリズムをとりまく豊富な批評が複雑さを欠いたこのアートを補足しているというが、つまり、従来の批評に対抗するものとなっていました。
ドナルド・ジャッドは
「新しいグループとしての知名度がなければ、注目される芸術家はほとんどいない。(中略)ひとりのアーティストの作品は、単独で議論しうるほど歴史的に重要であるとは見なされない」
と語っています。
私はこの言葉になるほど、と思います。
昨今はムーヴメント的なものはなく、一人でも名を挙げられるようなイメージです。でも、よく考えてみると、一人でもひとつのムーヴメントのような流れを作り出しています。早くも現代美術史の本にも載っている村上隆が、そうかもしれない。彼は戦略家だから、方法をすでに知っていた。自分でスーパーフラットという流れを、名前をつけてつくったんです。彼の作品が好きとか、嫌いとか、そうではなくて、見ておかなければならない作家です。
今の作家の作品を見るときは、今の美術の流れがどうなっているのか、よく考えてみなければならないし、さらにそのうえで私のような名もなき作家は新たなものを生み出さなければいけないですね。
〈代表作家〉
◎開拓者
●カール・アンドレ
●ドナルド・ジャッド
●ロバート・モリス
●ダン・フラヴィン
●ソル・ルウィット
●アン・トルット
●ジョン・マクラッケン
◎ミニマリズムに新たな語彙を模索
●メル・ボックナー
●ロザリング・クラウス
●ルーシー・R・リパート
●アネット・ミケルソン
●バーバラ・ローズ
●ロバート・スミッソン
◎ネオ・ミニマリズム
●フェリックス・ゴンザレス=トレス
●ロニ・ホーン
●チャールズ・レイ
●ジャニーン・アントニ
〈参考文献〉 美術出版社『20世紀の美術』、末永照和 監修 ファイドン社『ミニマリズム』、ジェイムズ・マイヤー 編
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