アートの相場
- TENTEKO
- 2018年7月30日
- 読了時間: 4分
更新日:2018年8月21日
アートビジネスの時間です。
ここでは、紀伊国屋書店『巨大化する現代アートビジネス』(ダニエル・グラネ、カトリーヌ・ラムール著)を参考にしながら、アート界の仕組みや覚えておくべき重要な人物を勉強していくページです。
たいへん、たいへん高額な現代アート作品たち。
どうして、だれが、なにが、アートをこんなに高額にしているのか。
かつては、過去のアーティストに注目が集まっていました。
しかし、今のコレクターは、同時代のアーティストと体験をともにしたいと考えているため、過去のアーティストの作品だけではなく、現代アーティストの作品を買うのです。
現在的ではないアートは、決してアートとはいえない
とピカソの言葉にあります。
アーティストはその時代の関心事を伝えるものでなければならないそう。
歴史を踏まえているからこそ、アート作品が残っていくものになると考えると、
現代性とは、その時代を知るために過去を学ぶことから始まるのかもしれないですね。
現代アートの父といわれるアーティストは何人かいます。
そのうちの一人が、マルセル・デュシャンです。
彼は、アートではない作品をつくろうと、レディ・メイドをつくりました。
何でもない日用品にサインするだけで、アート作品にしてしまいました。本来の意味を消し去って、新たな見方を生み出そうと試みたのです。彼は、アートであるかどうかはアーティスト自身が決定できるということを示しました。
歴史をつくってきたアーティストは、こうしてはいけない、と皆が考えるタブーを犯すところから始まりますから、今の時代の傾向や嗜好をよく理解することが大切なのだろうと思います。
記者、ソーレン・メリキアンは、
「重要なのはアートから生じる議論」だという。いかに精神に訴えられるか、市場関係者の心理を動かせるかがカギのようですね。
芸能ニュースでも言われたりしますが、賛否両論を巻き起こすのは芸能人としていいとされていますよね。だれかタレントさんが言ってました。アートも同じです。いいことなのか、悪いことなのか、皆の関心があるから様々な意見が飛び交うし、皆こぞってそれについて話したがる。
大学時代教授にこんなことを言われました。
「いい評価というのは過去から見てよかったから言えること。つまり、見たことがあるということである。しかし、わからないとか、よくないとか、賛否両論を巻き起こすような作品は、ひょっとしたらすごい作品なのかもしれない。評価できないというのは、もしかすると最高のほめ言葉なのかもしれない」
もう一つ、アートの相場のお話をします。
いまや、アートはお金に変わるものになりました。
1990年から2000年には、コレクターによるアート作品への投資額は120倍になりました。2005年から2008年にかけて、1億5000万円規模の競売は620%増加してるんです。620%って・・・普通の会話じゃそんなパーセンテージ聞かないですよね。異常な高騰です。
これが、アートのバブルです。
このときに、アーティストはスターになったのです。
2008年のリーマンショックでは、アート界もかなりの打撃を受けました。一年くらいは氷河期でしたが、また市場が活性化しました。
・アートは経済成長期には投機的価値があり、不況時でも金や宝石のようにインフレヘッジになること。(逃避資産)
・資産家の多くが、アートは社会的ステイタスの証であると考えていること。
が理由としてあげられます。
特に最近は新興国のBRICsのコレクターたちがアート界のカギを握ります。
〈キーワード〉
●マルセル・デュシャン:アートの父と言われる人。日用品にサインするだけでアート作品にする、レディ・メイドを生み出す。
●ヴェネチア・ビエンナーレ
●曾・梵志(ソン・ファンジ):中国の画家。
●スボード・グプタ:インドのアーティスト。
〈重要人物〉
●ロバート・ストア:画家・批評家・キュレーター。イェール大学美術学部長。アート界で最も影響力のある人物のひとり。ヴェネチア・ビエンナーレのディレクターを務めた経験がある。
●ソーレン・メリキアン:『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』誌の記者。
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