不鮮明さと華々しさ
- TENTEKO
- 2018年7月28日
- 読了時間: 4分
更新日:2018年8月21日
アートビジネスの時間です。
ここでは、紀伊国屋書店『巨大化する現代アートビジネス』(ダニエル・グラネ、カトリーヌ・ラムール著)を参考にしながら、アート界の仕組みや覚えておくべき重要な人物を勉強していくページです。
たいへん、たいへん高額な現代アート作品たち。
どうして、だれが、なにが、アートをこんなに高額にしているのか。
アートは金塊と同様の扱いになった一方、密売なども行われる。
贋作や盗難品が流通していることもあります。
関係者は
「金融バブルのころ、アート作品の密輸は、麻薬と武器に次ぐ量でした」とも語っているそうです。
競売会社の鑑定士は、出品者の倉庫に作品を見に行く際、出どころを確認します。そのとき、出品者の答えが曖昧だったりすると、民間会社に照会し盗難品かどうか調べます。
盗難品だった場合のために、競売会社は返却部門や弁護士チームを設けています。
ちなみに、インターポールは盗難品のデータベースを一般公開しています。
アーティストや競売会社のために、こういったアートの弁護士さんが増えてくれると嬉しいな~。特に日本では少ないと思いますので、アーツ・アンド・ローさんみたいな弁護士組織がもっと増えるといいなと思います。
贋作については見破るのが難しいそう。
でも、そうですよね。すぐ見破られるのであれば、アート界が贋作で悩まされることはないですものね。
贋作の有名な事件がこの本にありますので紹介します。
イギリス人のショーン・グルーンハルが、ゴーギャンの彫刻《ファウヌス》をデッサンをもとに制作しました。本物は行方不明とされていました。この贋作をショーンの母親が、ゴーギャンの友人のアイルランド人、ロデリック・オコナーから譲り受けたとして、サザビーズで出品しました。
1994年にこの彫刻は340万円で落札され、’97年には1510万円にシカゴ美術館に転売されました。イギリスのアート誌『アート・ニュースペーパー』でも掲載されたそうです。
シカゴ美術館ではこの贋作を10年以上展示し、学芸員も批評家も誰も見抜けなかったと・・・
グリーンハル親子は警察の捜査で自白し逮捕され、現在も刑務所にいます。
ジェット族って知ってますか?
自家用ジェットで飛び回っているお金持ちです。アート界にもいます。
アート界だとアートフェアを駆け巡っている人たちのことです。
画商やギャラリスト、キュレーター、コレクター、ジャーナリストなどです。
アートフェアでは、オープニングや個人的な会食がありジェット族は大忙し。
朝から夕方まで見学ツアーやパーティが開かれるんだそうです。
夜には豪華なホテルなどでプールに飛び込むなどなど…華やかなんですよね。
(こういったパーティーにはVIPカードと特別な招待状が必要です。)
この本読んでる限り、たぶんクラブみたいなイメージですね。騒音でお酒で…って感じみたい。
でも、商談はこういった場で決まるらしいです。
最後の取引と名刺交換の場になるそうなんです。ふしぎ・・・
最後に。
中国であれだけ現代アートが盛んになっているのは、
中国では現代アートが社会的成功の証であり、経済発展の原動力とされているからなんです。
日本では、ZOZOTOWNの前澤さんがビジネスの成功とアートが結びついている人ですよね。
もっと積極的に現代アート作品を買ってくれるような人が増えればいいな~。
〈キーワード〉
●クリスティーズ:最大手の競売会社。
●サザビーズ:最大手の競売会社。
●アート・ロス・レジスター社:盗難品を調査する民間照会会社。
●アート・ニュースペーパー:イギリスの月刊アート誌。
●国際展「ドクメンタ」:1955年よりドイツのカッセルで5年おきに開催。
〈重要人物〉 ●パール・ラム:香港の億万長者。上海に、コントラスト・ギャラリー(現パール・ラム・ギャラリー)所有。 ●オルガ・スヴィブロヴァ:ロシア人の展覧会コミッショナー
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